日々たくさんのコンテンツを見たり作ったりしているのですが、最近おもしろいと思った作品に1つの共通点があることに気が付きました。それほど新しいものではないのかもしれませんが、男性と女性の違いによっても感じ取り方が変わってきています。

■恋愛ストーリーのお約束

恋愛ストーリーは男性と女性の恋愛を表現する手法です。
登場人物の年齢が若く舞台が学校であれば学園ものに、社会人であれば大人の恋愛に、既婚者が相手であれば不倫ものと、登場人物の立ち位置によって変化していきます。
コンテンツとして恋愛ストーリーは古くから用いられているジャンルです。男女の恋愛は誰もが興味があり、人物に自分の気持ちを重ねることで感動し、イケメン俳優や美人女優を見て妄想を膨らませます。それが当たり前で、間違いでもありません。恋愛ストーリーは面白いし、書いていても楽しいものです。しかし、具体的な描写を盛り込まないと真意が伝わらない、受け取り側の言葉の読み取り能力も弱くなってきているので、最近ではより分かりやすく、よりシンプルな恋愛ストーリーが好まれる傾向があります。

■恋愛しない恋愛ストーリー

最近見た作品で『劇場版 聲の形』『Relife アニメ版』があります。どちらも恋愛が絡むストーリーで、男女関係のすれ違いや人物の格好良さや可愛らしさが面白いです。しかしちょっと変化球も入っています。
主人公は男性なのですが、自ら恋愛を進んで行ないません。むしろ排除している部分が作品の良さを引き上げています。

『聲の形』では主人公の石田将也が罪滅ぼしをしていくストーリーで、過去の事件を境に自らの嫌悪と戦っていきます。ヒロインの西宮硝子は先天性の聴覚障害を持っており、それが原因でいじめられてしまいます。そんた二人が高校生になってから再開しますが、過去の出来事を精算できずにモヤモヤとした気持ちをもってギリギリの所で友達という体裁を保っている。
これが一般的な恋愛ストーリーであれば、小学校時代のヒロインに再開した主人公は、失われた時間を取り戻すべく猛烈アタックして恋人同士になっていき、美しい未来に向かって歩んでいくのがよくあるパターンです。しかし、石田将也は西宮硝子のことを「好きか嫌いか」ではなく「罪滅ぼしの対象」として見ています。そこが1つのポイントで、映画全体を通して見ると「恋愛しているかのように見えるが向いている方向が異なっている」というチグハグな状態が垣間見られます。くっつくかくっつかないか、だけで判断できない複雑な心情がより大きな感動を生み出しています。

『Relife』は謎の組織に選ばれた主人公の海崎新太28歳、社会人になって3ヶ月で組織の闇に耐えきれず退職、その後アルバイト生活をしているキャラクターです。そこに組織の人間に「リライフ」しませんかと持ちかけられ、渡された薬を飲むと見た目が高校生になってしまい、実験のため高校生として生活していく、名探偵コナンばりのファンタジーですね。
何が面白かというと、海崎新太は28歳の社会人ですが、見た目が高校3年生という設定です。「若返った」わけではなく「中身は大人」なのです。なので学校の友人は10歳以上も下の「こども」であり、恋愛対象ではなく親戚のこどものような感覚になってしまいます。いわゆる「大人の対応」が高校生にとっては新鮮で、発言内容も大人なので信頼されていきます。恋愛対象となりそうな女子高生も出てくるのですが、あくまでも自分は28歳の大人で、実験が終わればすべてもとに戻る、という思考があるため恋愛に発展しません。むりやり彼女を作らない信念ではなくて、「自分は大人なんだから」という大人であれば当たり前にもっている感覚にフォーカスを当てている部分が面白いです。

■主人公という考え方の変化

主人公とヒロインは恋愛の後に恋人同士になるというのが当たり前として議論されなくなると非常に危険です。同じような作品が量産されるだけではなく、ユーザーが飽きてしまい作品を見るという行為をしなくなってしまいます。(また同じようなドラマか・・・のような感じ)
主人公はどんな過去を持っているのか、どんな性格なのか、いわゆる設定を突き詰めていくほど単純な恋愛は出来なくなってくるはずです。恋愛ありきで設定を考えるのではなく、生い立ちや過去の出来事を先に考えていくことで、そのキャラクターがどんな恋愛が出来るのかを考えていく事が大切になってきます。
格好良い男の子がいるから好きになる、だけでは何も面白くないですし、ストーリーに厚みも生まれてきません。そこを生み出すのがクリエイターの手腕だと考えています。