最近テレビでも取り上げられている『eスポーツ』をご存知でしょうか。

これはコンピューターゲームによって勝敗を競う競技のことで、従来の体を動かして勝負するものとは異なります。世間では「スポーツではない!」と言う人もいますが、個人的には「スポーツ」として認識しても良いものだと思っています。

さて、ゲームを使った大会といえば、昔テレビ東京系列で放送していた「スーパーマリオクラブ」が印象的です。全国の猛者たちがスーパーファミコンの『マリオカート』や『スーパースコープ』で対戦、勝利すると豪華賞品をもらっていました。
最近はそうした子ども向けゲーム番組は無くなってしまいましたが、あのままゲーム対戦文化が進んでいればeスポーツが日本でも当たり前になっていたのかもしれませんね。オンラインゲーム対戦が実現してからは家庭にいながら世界中のプレイヤーと戦うことができるようになり、eスポーツの土台は固まり始めます。

eスポーツで戦われるタイトルは?

「ゲーム」といっても様々な種類がありますが、eスポーツで使われているものは「コンピューターゲーム」と呼ばれます。
あくまでも競技としてのゲームなので、使われる作品は何でも良いわけではありません。
例えばこういったジャンルのゲームが競技として採用されます。

・カーレース(F1やGTなど)

グランツーリスモSPORT

本物のカーレースでもチャンピオンを目指して戦っていますが、それをコンピューターゲームで戦います。ヨーロッパではカーレースゲームが人気ですね。
トップでゴールすれば良いので分かりやすく、テクニックでライバルを抜き去る駆け引きが面白さのポイントです。

グランツーリスモSPORT
https://www.gran-turismo.com/jp/gtsport/top/

・対戦格闘ゲーム

相手の動き見極める判断力が重要な対戦格闘

日本人が最も馴染み深いのが『ストリートファイター』に代表される対戦格闘ゲームかもしれません。日本人でも多くの選手を排出しており、世界的に有名な選手が数多くいます。
対戦格闘ゲームの場合は瞬発力と判断力が重要で、1フレーム単位での調整により決着がつく世界です。どちらかが倒れれば終わり、という見ている視聴者にも分かりやすいジャンルです。

STREET FIGHTER V ARCADE EDITION
http://www.capcom.co.jp/sfv/esports/license/

 

・対戦パズルゲーム

ぷよぷよeスポーツ
オンライン対戦ができるeスポーツ専用タイトル

『テトリス』や『ぷよぷよ』に代表される落ち物パズルゲームです。
1体1で戦い、どちらが先にゲームオーバーになるかを競います。操作の正確さと素早さが見ている人も楽しいゲームです。

ぷよぷよeスポーツ
http://puyo.sega.jp/PuyoPuyo_eSports/

・リアルタイムストラテジー(RTS)

瞬間の判断力が鍵となるRTS

世界中で大会が開かれており、eスポーツという名称ができる前から楽しまれているのが「リアルタイムストラテジー」というジャンルのゲームです。主にパソコンゲームであり、『スタークラフト』『League of Legends』といった人気タイトルがあります。
あまり日本では馴染みが無いかもしれませんが、どちらかというとこちらがこれまでは主流でした。

『League of Legends』eスポーツページ
https://jp.lolesports.com/

・ファーストパーソンシューティング(FPS)

自分視点でプレイするため慣れが必要

熱狂的なプレイヤーも多いのが「ファーストパーソンシューティング(FPS)」です。プレイヤー視点のシューティングゲームで、対戦相手と撃ち合いながらポイントを競い合うシステムです。
戦争ゲームに多く用いられるゲームシステムで、パソコンや家庭用ゲーム機でプレイが可能です。攻守が目まぐるしく変わるゲーム展開は、プレイを見ているだけでもハラハラ・ドキドキ楽しめるのが特徴です。

PUBG
http://pubg.dmm.com/

ゲームはスポーツなのかという問題

eスポーツを部活に例えると「文化部」である、という考え方の方が大半かもしれません。体を動かさずに頭の中だけで考えるものは「思考のスポーツ」とされ、囲碁や将棋と同じグループに属します。
eスポーツ肯定派と否定派が大きく分かれる部分がここで、「eスポーツは良いけどスポーツではない」という議論が絶えません。

eスポーツ関係者は選手を「アスリート」と呼び、厳しいタイムスケジュールや体調管理の元世界中を転戦。多い日で8時間以上椅子に座り戦い続けるという厳しい環境を耐え抜くアスリートである、という考え方です。
一方、アスリートではないという意見もあります。

・アスリートとは
アスリート(英:athlete)とは、スポーツを行う人のことである。 運動選手(うんどうせんしゅ)、スポーツ選手(スポーツせんしゅ)、スポーツマン(英: sportsman)ともいう。

・スポーツとは
スポーツとは、一定のルールに則って勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする身体運動のことである。ただし身体運動が主ではない場合でも、マインドスポーツやモータースポーツなどのように、少しでも身体運動を伴った競技性のある活動をある種の”スポーツ”として認めるように主張されることもある。

これらの問題はそれぞれの国の文化、人々の成長過程で得られた経験と知識、言葉の解釈の違いによって起こります。解釈の違いを求めて争っても仕方がないため、囲碁のように実績を積み重ねて溶け込んでいくしかありません。
もしeスポーツが「スポーツ」として浸透しなかった時、それが決着の時なのかもしれませんね。

アジア大会や国体でもeスポーツを開催

2019年の茨城国体ではeスポーツが正式に行われます。アジア大会でもeスポーツ部門が公開競技となり日本チームが大活躍しました。
陸上や水泳と同じ土俵にeスポーツを並べるのはいかがなものか、という批判もまだまだ多いのが現状です。「eスポーツ大会」として別のくくりにしない理由は何かと言われることもあります。

eスポーツがこれほどまで盛り上がっているのは、売れる商品であることが大きいということも考えられます。
スポンサーがあり、競技人口が2億人以上いて、視聴者も熱狂的に盛り上がれる。そうした環境は競技スポーツと同じ要素が整っています。
数字上はテニスやサッカーなどと同じ環境になっているということは、そこにお金が発生するということです。もちろんお金が動くから人が集まり、競技人口が増えて更に盛り上がっていくので悪いことではありません。

スポーツと自ら言う時点で野球よりも認知度がない

野球の競技人口は3500万人ほどといわれています。テニスはおよそ1億人です。一方eスポーツの競技人口は3億人以上、集計されていないプレイヤーも含めると5億人以上いるとも言われます。
しかし、これら競技は「野球スポーツ」や「テニススポーツ」とは呼ばれません。その競技名そのものが「スポーツ」であると認識されているからです。

対して「モータースポーツ」「マインドスポーツ」「eスポーツ」はそれぞれ「スポーツ」の単語が入ることで初めて議論ができるようになります。
この時点で従来のスポーツとは異なるものである、というイメージとなるため「〜スポーツ」と言わないと理解されない新しい存在でもあるのです。

『ぷよぷよ』と言うだけで「ああ、あのeスポーツね」という会話が成立する時代が来るのでしょうか。

eスポーツプレイヤーは『アスリート』である

eスポーツは身体的な能力のほか、思考能力も重要な要素になっています。テレビゲームは誰もが遊んでいる娯楽ですが、そのレベルでeスポーツに参加できるかといえばそうではありません。
例えば将棋の棋士も、タイトル戦ともなればほとんど体を動かさないのに2キロ以上痩せてしまうという話もあります。思考の競技だからといって楽ちんではありません、ものすごいカロリーを消費しています。それだけを見ればもうアスリートですね。

eスポーツに求められる能力】
・相手の動きを見極める判断力
・的確なコマンド入力を可能にする動きの正確さ
・8時間以上椅子に座ることのできる筋力
・世界中を遠征する体力
・仲間に指示をするリーダーシップ
・チームで協力しながら戦うコミュニケーション能力

これらがトップクラスにならないと世界で勝ち抜くことはできません。
これらを持っているからアスリートである、という理由にはなりませんが他の競技スポーツと比べても遜色ない活動をするのもeスポーツが持つ特徴です。

子どもたちの目指すものがeスポーツに変わる歴史の転換期

認知度が低く「所詮はゲームでしょう」と言われているのも、これまでは一部のプレイヤーが切磋琢磨していた世界が表に出てきたからこその反応だと思います。存在自体が知られていなかったから何も反応がなかっただけですね。

一番のポイントは競技人口が3億人とも言われる部分で、小さな子どもからお年寄りまで年齢に関係なく戦うことができるのが良い点ですね。
競技スポーツは肉体の強さを競うものなので、どうしても年齢の問題が生まれてきます。囲碁や将棋などのマインドスポーツに関してはプレイするだけなら年齢は関係ありません。そこに対象がコンピューターゲームになったeスポーツが登場しただけの話です。

ゲームばかりやっても将来の役に立たないという声があります。その論理でいくと、プロ野球選手になれるのは本当に一握りでなれない人のほうが多いのに何故目指すのか。というところにいきつきます。
「野球は人間関係や規律を学ぶので社会の役に立つから良いんだ」その通りでとても良いことだと思います。しかしゲームでも全く同じことが学べます。

思考力、判断力、リーダーシップ、コミュニケーション能力、全てにおいて鍛えることができ、それらは社会において最も求められる能力です。
問題なのは何も目標を持たず時間を浪費するだけのゲームプレイです。こういった場合は得られる能力は少ないかもしれません。

そのためにも目標を作り、それに向かって努力し、結果が出ても出なくても自らに残った何かを将来に活用できる土台を作るべきだと思います。

eスポーツはもっと盛り上がるべき

世界的な流れとしてはスポーツとして認め、それに対してプロチームが発足し、莫大な賞金が得られる大会が興行されています。
お金になる事業でもありますが、それはサッカーや野球、テニスと同じです。
多くの人が挑戦でき、努力すれば世界一になれる可能性がある競技はほとんどありません。その目標を作るための土台としてeスポーツが盛り上がっていくことを期待しています。

 

e スポーツ産業に関する調査研究 報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000551535.pdf