【第6回】ゲームプランナーのお仕事とは。新旧ゲームを学んで共通言語を見つけよう

ゲームの開発現場では様々なコンテンツの話が飛び交っています。古いアニメだったりマニアックなレトロゲームだったり、ハリウッド映画のワンシーンやクラシック音楽の話題も出てきます。ゲームプランナーは様々な知識を持っていることで話題を理解してスムーズな意思疎通ができるようになっていきます。

あらゆる年代のクリエイターと会話するために必要な「共通言語」

ゲーム開発の現場において、皆が同じ知識を持っているとは限りません。ゲーム会社で働く人は全員ゲームマニアかというとそうではありません。なので、『ドラゴンクエストの「ぱふぱふ」みたいな小ネタを入れたいんだけど』と相談しても『それってなんですか?』と返される可能性があります。この記事を読んでいる人でも知らない方はいるでしょう。

この会話の意図としては、ドラゴンクエストシリーズではおなじみとなったネタでもある「ぱふぱふ」というフレーズと同じように、話題になるネタを取り入れて楽しんでもらいたい。ということになります。しかし、元ネタを知らなければ意図が伝わりません。まずドラゴンクエストの「ぱふぱふ」とはなにかを説明し、今回取り入れたいネタのイメージを伝えて詳細に説明することが求められます。

このやり取りを不要にする魔法が『共通言語』です。「ぱふぱふ」といえば「ああ、ドラクエのアレね。了解」と阿吽の呼吸で伝わるようになります。その他にも、『七人の侍の弓矢が飛んできてギリギリ当たらないやつ』とか、『ボレロみたいな盛り上がり感」とか、開発に取り入れたいイメージを具現化するために参考とする資料として例え話を用います。これが共通言語になります。

プランナーはあらゆる知識を持って会話していこう

ゲームプランナーは開発に関わる全ての人と会話し、やり取りを行います。デザイナー、プログラマー、ディレクター、クライアントや広告主など、ありとあらゆる人と仕事をしていきます。そこで会話を成立させるためには様々な知識が必要になります。

プランナーは仕様書がかけてゲームのことを知っていて指示が出せればいいのか、と言われると確かに一理あるのですが、スムーズなコミュニケーションの為にはゲーム以外の知識を持っている方が便利です。デザイナーに指示を出すときも、「あのアニメの決めポーズを参考に」などと言えれば参考画像を探す時間も省けます。このアクションゲームの着地モーションと同じ動きを作りたい、といえばイメージの間違いがありません。このように、知識をもって伝えることで間違いを減らし、確実な意思伝達を行っていきます。

新作ゲーム案の作成にも知識が必要

新作ゲームの企画案を出す時にも知識は必要です。これは単純にゲームの内容を知っているだけではなく、その結果にまで広げていきます。ふと思いついた「世界初、僕の最強の企画書」を時間をかけて作って提出したところで、5年前に大失敗した企画と同じ内容なら全く意味がありません。マニアックな知識も時には役に立つものです

リバイバルヒットを狙うのも共通言語から

ゲーム開発では常に先進的なものを取り扱うばかりではありません。過去にヒットしたアイデアを参考にして現代アレンジを加えてリバイバルヒットを狙うこともあります。ファミコンで発売されたゲームのゲームルールを参考に、スマートフォンで楽しめるアクションゲームを作ったり、メガドライブで海外で人気だった題材を使ったハイエンド機向けゲームなど、考え方次第で過去の知識はいくらでも役に立ちます。

しかし、自分の頭の中で面白いと思っているだけでは意味がありません。チームメンバーに伝えるためには「何故その古いゲームの遊びが面白いのか」を伝えて初めて面白さがわかります。なぜ面白いのか、プレイ動画を見せるだけでは伝わりませんし、実際に遊んだところで苦手なジャンルだと1面クリアも絶望的。そこで、面白さの根幹を相手が理解できるコンテンツを参考にして説明すると理解が早まります。

相手に合わせた知識と言葉で共通言語化していこう

難しいニュースや解説を分かりやすく説明すると子どもでも理解できます。それは相手の知識に合わせて意味を噛み砕くからであり、知らない言葉を並べて説明しても分かりません。ゲーム開発の現場でも同じことが起こっていて、その人が遊んでいたゲーム機の世代によって会話の内容が大きく違います。ポケモンの話をしても、初代赤緑なのか、ダイヤモンド・パールなのかで好きなポケモンの名前を知らなかったりしますね。ダイマックスって何?とか、トリプルバトル!?とか。

古今東西あらゆるゲーム(ビデオゲーム、ボードゲームなども)の知識、さらには映画や音楽などのエンタメコンテンツに至るまで、プレイヤーを楽しませるために必要な知識を持つことがゲームクリエイターへの第一歩です。