【第3回】ゲームプランナーのお仕事とは。企画書作りに大事なのはアイデア?それとも予算?

ゲームプランナーの仕事では企画書を作ることがあります。ゲームの企画書ばかり作るわけではないので「作ることがある」としましたが、ゲームプランナーを目指す人にとっては必ず通る道です。でも実際の業務で企画書を作るときは失敗する人も多いかもしれません。そこで企画書の作成ポイントについて解説していきます。

その企画書、なんの目的で作りますか?

企画書と聞いて思い浮かべるのは、「とにかく斬新で面白く最高のゲームを作ろう」という気持ちが現れたものです。よくあるのが、企画書最初の1ページ目に「今までにない斬新なプレイ方法で楽しむ」といった見出しが付くことですが、すでにその時点でボツになってしまう可能性が高いです。斬新かどうかは企画書を見て誰かが思うものなのです。

その企画書というのは何のために作る必要があるのか、まずは企画を考える前に立ち止まって冷静に考えてみましょう。もしくは上司に確認しておきましょう。そうすることでお門違いな企画書を作らなくて済みます。その時の確認方法としては、

・社内で実際に開発するための企画書か
・社外の会社へ提案するための企画書か
・斬新なアイデアを集めるブレスト用か

ざっくりこのくらいで良いでしょう。それぞれ企画書の作り方や考え方が異なるので注意が必要です。それではそれぞれ確認していきましょう。

社内で実際に開発するための企画書

社内で実際に開発するための企画書を作る場合は、単なるアイデア集ではNGです。具体的に開発が可能か、販売した場合の売上はどの程度期待できるのかまで検討していく必要があります。プランナーは新しいゲームを考えるだけで売るのは営業の仕事だ、と考える人もいるかも知れません。しかし企画というのは開発から販売までを想定して認められて、初めて会社にお金を出してもらう事ができるのです。

社内向け企画書に必要な内容

・ゲームアイデア

・市場評価予想

・開発期間

・ロードマップ

・必要人員

・予算

・販売本数予測

社外の会社へ提案するための企画書

社外の会社へ提案するための企画書は少し難易度が高くなります。例えば昔から長く続いている看板キャラクターのゲームであったり、多数のキャラクターを活用したパーティゲームだったり、あるいは完全オリジナルであったり。その企業にとってどのような開発メリットがあるのかを提示しなければなりません。また、普段は協業している会社からコンペなどで新しい企画案を求められることもあります。そうした場合にも、何故その会社が作るのかを考えて最適な提案をしていきます。家庭用RPGの開発に特化した会社に流行っているからと言ってスマホ向けソーシャルゲームの提案をしても、そもそも開発人員が足りず経験もない、となってしまう場合もあります。それでも作りたいと思う内容であればOKです。
さらに資料もデザインされた物を持っていきます。会社として外に出しても恥ずかしくない状態にします。

社外向け企画書に必要な内容

・ゲームアイデア

・コンセプトアート

・市場評価予想

・開発期間

・予算

斬新なアイデアを集めるブレスト用

斬新なアイデアをたくさん集めて新作ゲームの方向性を定めたい、そんな企画提案もあります。とにかく職種問わず広い意見を求めるためのもので、紙一枚の企画アイデアから数十ページの企画書に至るまで様々です。深く掘り下げてじっくりと見る企画書ではなく、ひと目でパッと分かるインパクト重視のものが求められます。

ブレスト用企画書に必要な内容

・ゲームアイデア

・類似ゲームとの比較(二番煎じだとしても何が面白いのか)

企画書で失敗しないために

新人さんが企画書を作って失敗する原因は、「何のための企画書が求められているか」が分からないところです。渾身の企画書を発表したものの、そこにはアイデアや面白さをまとめたものしか無く役員に「それで、開発費はどのくらい?」等と聞かれて全く考えていない、なんてことも多々あります。斬新なアイデアや面白い遊び方を考えるのは当たり前のことですが、もし仮に採用された場合どのくらいの費用がかかり、何ヶ月で作るのかを考えておくと良いでしょう。

面白いアイデアだけど開発技術が追いついていないので完成まで10年かかるとか、コストがかかりすぎて開発できないとか、勿体ない企画書を作ってしまうと会社としてどう動いてくれるのかは未知数です。あえてぶつけてみても面白いですが、出し方は考えものです。

企画書を作る場合は、アイデア、コスト、開発期間、今の市場については一通り検討しておくと良いでしょう。そのうえで書類に落とし込むかどうかは検討すればOKです。必要があれば口頭で補足説明しても良いですし、追加の資料を作っても良いかと思います。

企画書と聞いて脊髄反射して作り始めるのではなく、まずは一呼吸おいて「何のための企画書なのか」を考えてみてください。