【第4回】ゲームプランナーのお仕事とは。仕様書はゲームの設計図、正しく書くために必要な技術は?

ゲームプランナーの仕事で重要なのは「仕様書」作成です。これがないと正しい動きのイメージが伝わらなかったり、全く別のものを作ってしまったり混乱する要因となります。ここではプランナーに求められる仕様書作りに必要な事をご紹介していきます。

ゲームプランナーが作る仕様書はゲーム開発の設計図

ゲーム開発における仕様書は設計図です。仕様書がないとスムーズな開発ができずに途中で炎上してしまうかもしれません。コンパクトなゲーム開発の場合はアジャイル開発として作りながら、直しながら完成に向かう方法もありますが、複雑な遊びが含まれる場合は仕様書があったほうが良いでしょう。

仕様書はどのように作っていけばよいのでしょうか。ゲーム会社によって仕様書の作り方は様々ですが、ゲームの動き、画面配置、表示物の個数、操作方法などが理解できる形で書いてあることが望まれます。全くゲームの内容を知らなくても仕様書を見れば動きが想像できるのです。

仕様書から見えてくる問題点もある

ゲームの仕様書は必要な情報をまとめられている設計図です。仕様書を作成することで問題点も見えてくるため、実際に手を動かして作った後に失敗することを防ぐ事もできます。設計図がしっかりしていれば作り始めても問題を解決しやすくなるので、できるだけ細かく漏れがないように作るようにしていきましょう。

どのくらい細かく作るの?

カードバトルゲームを例にしてみてみましょう。ゲームに必要なものはカードのステータス、キャラクターイラスト、表示物、デッキとします。ここからどんな情報が必要になってくるでしょうか?

カードのステータス

ステータスには「攻撃力」「防御力」「コスト」などがあり、ゲーム独自の数値があれば追加します。
例えば「属性」は弱点や特効効果を作りますし、デッキに配置するだけで特殊能力が発動するなど幅広い遊びが考えられます。仕様書ではこの「遊び」になっているものを全て洗い出し、場合によっては新たに追加してルールを完成させます。そうして生まれたゲームのルールを詳細に説明してあげることで仕様書が出来上がっていきます。
カードの強さも一覧にしてまとめておく必要があり、レベルの概念があればレベルアップごとのステータス上昇値を事前に計算しておきます。作りながらなんとなく数値を決めていくと、完成間近になって破綻してしまい、作り直す羽目になりかねません。

キャラクターイラスト

キャラクターイラストについては、カードの枠のどこにイラストが掲載されるかを図解しておきます。
多くはカードの枠にもデザインが施されて豪華になっていきますので、イラストの重要な部分が枠で隠れてしまう、といったミスも発覚しがちです。事前にカードデザインの作成ルールを仕様として決定しておくことがミスを防ぎ、デザイナーやイラストレーターへ発注する際の指標にもなります。
その他、近年のゲームではカードイラストがキラキラと光る演出が入ったり、動く演出が入るものもあります。それらも全て仕様として書き出しておく必要があります。

表示物

カードゲームに必要な数値やアイコンは配置が重要です。見やすければ遊んでいても気になりませんが、見づらければルールを理解しづらくなる弊害も生まれます。そうした遊びを阻害する要因を事前に排除するために表示物の仕様を決めておきます。
ここはデザイナーとも一緒になって作っていく部分になるので、仕様書を作成してからデザインするというよりも同時進行で修正しながら作り上げていきます。最終的には確定した配置を仕様書に落とし込み、全員が理解できる設計図として残すこととなります。

デッキ

カードゲームで最も重要なのは「デッキ」です。このデッキシステムによりゲームルールにも大きく影響を与えます。
例えばデッキに保持できる枚数は何枚までか、同じ種類のカードは何枚入れられるのか、デッキコストは存在するのか、ゲームルールによって変化する要因がたくさんあります。そのためにはデッキ以外の仕様も確定している必要があり、未確定事項が発見された場合は仕様書の修正が発生していきます。
デッキを保存しておくシステムは一般的に搭載されているものなので、自分で編集したデッキは最大何種類まで保存できるかも規定しておきましょう。そうすることでプログラマーが実装しやすくなります。

デッキに選択したカードがマイページで同表示されるか、そもそも表示しないか、アイコン化するかどうかなど、カードゲームだからカードを1枚作れば良いものではありません、様々な箇所にイラストやアイコンが表示されることとなるため、必要素材の洗い出しは必須となります。

仕様書は常にアップデートされるもの

仕様書は最初に完成したら終わりではなく、開発している途中でどんどん変更されていきます。もちろん変更がない仕様書というのもありますが、多くの場合はより面白い作品にしていくために追加削除が発生していきます。仕様書に変化があるたびに修正を繰り返し、最終的にゲームが完成する頃になって全ての仕様が確定していきます。
仕様書は常にアップデートされていくもので、初稿からどんどん更新されて改変されていきます。そうした作業もプランナーの大事な仕事だったりしますので、面倒臭がらずに間違いなく修正していくようにしてください。

仕様書に無い問題は相談して解決していこう

仕様書はプランナーが作っていくものですが、プランナーだけでは決められない事も数多く発生します。一人で延々と作業するだけではなく、デザイナーやプログラマーと相談して仕様を確定していくのが通常です。自分は「こうしたほうが良い」と思っていることでも、実際にはプログラミングでは解決出来ない動きだったり、仕様書でイメージしていたデザインを実際に作ってみたらイマイチだった、という事もよくあります。そうした時間のロスをなくすためにも常に各担当と連携して仕様を決めていってください。

仕様書作成に必要な技術はホウレンソウ

大きなゲーム開発になるほどたくさんの人が関わります。プロジェクト内で仕様書を作る際、問題や課題が見つかったときは速やかに責任者へ報告し、解決策を検討していきましょう。作っている最中に見つかった問題点についても放置すると大変なことになります。書類上で見つかった不備や計算違い、数値違いなども実装担当者へすぐに連絡して修正してもらいます。ステータスの変更程度ならまだ良いですが、画像サイズの指定間違いがあったら大変です。大きさを直したり、場合によっては作り直しとなります。
仕様書は設計図でもあり、問題点を早期に見つけるための資料でもあります。作り始める前に吟味できるものなので丁寧に、必要情報を全て書き込むようにしましょう。そうすれば不明点も解消され、実装担当者からの問い合わせ回数も減り、スムーズな開発へと繋がります。